明けましておめでとうございます。

皆様方におかれましては、ご健勝にて新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。

旧年中は森林組合の事業推進におきまして、ご理解ご支援を賜り厚くお礼申し上げますとともに、本年も変わらぬご厚情を賜りますようお願いいたします。

さて、昨年は１月に新型コロナウイルスの初感染者が国内で確認され、２月には横浜港に到着したクルーズ船での集団感染、中国・武漢での初感染者の確認から約２ヶ月で世界５大陸にと感染が拡大し世界中を震撼させました。いまだに収まる気配もなく世界経済に多大な影響を及ぼし、２００８年のリーマンショック以上の影響とも懸念されています。

国内の林業・木材産業においても、木材の需要の減少と木材価格下落など、当森林組合の事業運営にも大きな影響を受けることとなりました。そして「令和２年７月豪雨」や「台風１４号」による災害は幸いにして京丹波町での発生は有りませんでしたが、被害を受けられた各地では多くの方が被災され、コロナ禍の中での復旧活動に心よりお見舞いを申し上げます。

さて、こうした厳しい状況の下で、「京丹波森林組合中期計画」の最終年度を迎え、５ヶ年間での各成果指標の目標値達成に向け取り組みを進めたところであります。

特に、「森林経営計画」に基づく利用間伐等を推進すると共に、町有林をモデル林とした循環する山づくりに取り組み、新庁舎建設用材等の伐採・搬出と、更に伐採跡地では新たに植林を行い、次世代の森林整備に努めました。

伐採しました庁舎建設用材のスギ・ヒノキ丸太は町内の製材所で加工され、新庁舎の建設も進み、建設中の木造庁舎の一部が国道９号線より見られるようになりました。

また、市場等へ出荷する間伐材については、コロナ禍の影響で７月初旬より急激に木材価格が下落し、市場への出荷が出来ず町内の土場で滞留し一時的に仕事を止める状況となり、現場で働く作業員の雇用がこのまま維持できるかと心配したところです。

幸いに新型コロナウイルス感染症の緊急経済対策として、国の補正予算により土場に滞留している原木の保管に支援対策が組まれ、京丹波町においても、町内産木材の流通拡大と林業従事者の雇用創出、そして林地残材が流木となる災害の発生防止を目的に、市場等への間伐材の運搬経費に対する支援対策が、令和２年度補正予算で計上され、土場で滞留していた原木の流通が再開でき、雇用を維持することができました。

こうした補正予算の動きとともに、遅れていた本年度の各事業の発注も受け、令和２年度事業計画の達成に向け取り組みを進めたところであります。

このようなコロナ禍の中、１０月２６日には管首相の就任後初の所信表明演説が行われ、その中で２０５０年までに国内の温室効果ガス排出を実質ゼロにすると宣言をされました。

京丹波町においては、伐ったら植える循環する森林施業や木質ボイラーによる地域熱供給等CO2の排出削減、そして木造での新庁舎建設による炭素の固定と、住民の生活環境向上に繋がる取り組みが行われています。

また国連が提唱するSDGs（持続可能な開発目標）の１７の目標のひとつには、「陸の豊かさを守ろう」陸上の生態系を保全する目標が上げられています。その中で森林の果たす役割は、木質資源の供給とCO2の吸収、森林の保全機能による土砂災害防止等、大変重要な役割を果たしています。

森林組合はこうした大切な森林を皆様からお預かりし、天然林の整備、人工林のスギ・ヒノキ林では搬出間伐に取り組み、森林所有者の皆様へ利益還元するため、高性能林業機械を導入し安全の確保と低コスト化を図り、国・府・町からの補助事業を活用し、日々町内の森林整備の事業を進めています。

しかし、住民の皆様の中には、「森林組合が係わる林業の仕事って何？」という印象をお持ちの方もあるのではと思われます。

町の８３％を森林が占め自然環境豊かな京丹波町の森林組合として、今後も引き続き森林整備事業を進める中、２０２１年からは、木や森林そして環境について多くの方にご理解いただけるよう、子供達には森林や木のことが学べる時間、そして住民の皆様には脱炭素社会に向けた森林での取り組みや、国連が提唱するSDGsの目標達成に向けた情報等も提供し、林業は木材産業だけで無く、環境・エネルギーにも直結した持続可能な社会に有用な業種であることを認知いただけるよう、森林組合の仕事に位置付け取り組みをはじめます。

本年も、皆様のご指導ご支援をお願い申し上げ、新年の挨拶といたします。

京丹波森林組合

代表理事組合長　樋口　義昭